このせかいに在るがまま
「最悪だよ星原。お前、無意識で人の人生壊すんだからさぁ」
「何の話?」
「お前が『興味無い』でバッサリ振った女の中に 俺の幼なじみが居たんだよ!去年からずっと俺はお前が憎かった。俺はもう何年もアイツのこと好きだったのに、お前みたいなやつに傷つけられて泣いてんだよ、なぁ!」
滝口くんが声をあげる。ここが教室で、朝のホームルームが始まる前であることなんて誰もが忘れていたと思う。
クラス中の視線が、星原くんと滝口くんに向けられていた。
滝口くんは隣のクラスに幼馴染の女の子がいるらしい。
その子のことがずっと好きだったけれど、彼女は星原くんのことが好きで告白するところまでいった。けれど、星原くんはその告白を断った。女の子は振られた悲しみで泣いた。
「なんで星原だったんだよ…」
どうして星原くんだったのか。
そんなの、星原くんが魅力的だからに決まってる。心の中で答えて、わたしは滝口くんの言葉を耳を傾けた。
慰めて寄り添う。その展開で落ち着けばよかったものを、滝口くんの中に存在する“愛”は、どうやら矛先を間違えてしまったらしい。