このせかいに在るがまま





「最悪だよ星原。お前、無意識で人の人生壊すんだからさぁ」

「何の話?」

「お前が『興味無い』でバッサリ振った女の中に 俺の幼なじみが居たんだよ!去年からずっと俺はお前が憎かった。俺はもう何年もアイツのこと好きだったのに、お前みたいなやつに傷つけられて泣いてんだよ、なぁ!」



滝口くんが声をあげる。ここが教室で、朝のホームルームが始まる前であることなんて誰もが忘れていたと思う。

クラス中の視線が、星原くんと滝口くんに向けられていた。



滝口くんは隣のクラスに幼馴染の女の子がいるらしい。

その子のことがずっと好きだったけれど、彼女は星原くんのことが好きで告白するところまでいった。けれど、星原くんはその告白を断った。女の子は振られた悲しみで泣いた。



「なんで星原だったんだよ…」



どうして星原くんだったのか。

そんなの、星原くんが魅力的だからに決まってる。心の中で答えて、わたしは滝口くんの言葉を耳を傾けた。


慰めて寄り添う。その展開で落ち着けばよかったものを、滝口くんの中に存在する“愛”は、どうやら矛先を間違えてしまったらしい。


< 140 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop