このせかいに在るがまま






「はっ。お前ら、ホント出会えてよかったよな。同じ気持ちの人間がそばにいるだけで強くなった気になれんだろ?「わたしたち似てるね、同じだね」って、共有できるやつがいていいよなあ?俺は、山岸ともあいつとも微妙に主旨が違って、埋め合わせてるだけだった。別に、もうなんでもいいけど。俺がクソみたいに最低なことしてるのは自覚してるし」

「…、」

「なあ、星原。もう一回教えてやるよ。人の気持ちを動かすのは愛だよ」




くだらない。そんな愛、こっちから願い下げだ。



「お前の大切なもの、ぶっ壊してやりたい。星原の傷ついた顔をみれたらさ、俺は多分嬉しくて泣いちゃうわ」




何も隠すところがない、清々しいほどにまっくろな感情だった。





「はいーチャイムなったぞー。席ついてー」



タイミングが良かったのか悪かったのか。


ホームルーム開始をしらせるチャイムとともに先生が入ってくる。今日は担任が出張の日で、学年主任の男の先生が臨時担任になるらしく、いつもこのクラスで起きていることを黙認するばかりの担任じゃなくてよかったなと思った。


微妙な雰囲気が消えないまま、学年主任の言葉にクラスメイトたちが席に着く。滝口くんもチッと舌打ちを零して大人しく席に着いた。


どんよりとした空気が残ったままの教室は、いつも以上に居心地が悪かった。




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