このせかいに在るがまま
星原くんを憎いという滝口くんと、わたしを憎いという山岸さん。
運悪く二人が協力関係になったことにより、この一ヶ月、 このクラスはわたしがいじめの対象になることでバランスを保ってきた。
それが今や、山岸さんは学校を休み、滝口くんは真っ黒な本音を打ち明けたのだ。不正解だらけの箱の中で、上手く呼吸なんかできっこなかった。
たった一つの出来事で、"普通"はいとも簡単に崩れていく。
わたしがこのクラスに居たせいで山岸さんの期限を損ねた。わたしが星原くんと仲良くなったせいで、彼にも迷惑をかけた。
誰にも迷惑をかけずに生きていられる人は、果たしてどのくらいいるのだろう。
考える度に頭が割れそうになる。
わたしが生きている価値は 数値にしたらどのくらいなのか。
こんな風に星原くんのことを巻き込んでしまうなら、大人しく山岸さんにいじめられていた方が良かった。星原くんの重荷になりたくなかった。
何もかも無かったことにして死んでしまいたい、漠然とそんなことを思ってしまう。