このせかいに在るがまま
「おれはね、このせかいに不満がたくさんあるんだよ」
おなじだ。わたしも、このせかいの嫌いなところがたくさんある。
正反対の立ち位置に居る星原くんとわたしの共通点。
同じ匂いがする理由。
「この世のぜんぶ、全然すきになれない」
「…わたしも」
「だれにも迷惑かけずに死ねるならさっさと死にたい」
「うん。わたしも」
「でも、それなりにまっとうに生きてるはずのおれらが死んで、山岸たちみたいないじめの主犯者とか、何人も人を殺した犯罪者とかが生きてるのって、それもまた可笑しな話だよね」
星原くんは、いったいどんな人生を歩んできたのだろう。どんな過去が星原くんにそう思わせるようになったのだろう。
「どうせ死ぬなら、このせかいの不満はぜんぶ解消してからがいい」
きみが抱える不満をひとつひとつ聞いてみたいと、わたしはそんなことすら思っている。