このせかいに在るがまま
*
修了式の日は午前中で学校が終わるので、ホームルームが終わった頃、時刻はまだ12時にもなっていなかった。
「カラオケ行かない?」
「駅前のカフェの平日ランチいってみたかったんだよねー」
「つうか補習対象者 今日この後集まれって言われてなかった?」
「てか雨つよくなってねえ?やべえ、今日の夜あたり、警報でてそう」
そんな会話が飛び交う教室。どんどん人がいなくなって、あっという間に最後の一人になる。
誰もいなくなった教室で、わたしはいつも数十分だけ彼を待つ。来ないと分かっていても諦めたくなかったのだ。
連絡先を知らない星原くんと会う手段は限られている。毎日教室で待っていても、毎晩のように小学校の屋上に星を見に行っても、この半年一度も星原くんには会えていない。
何処へ行ってしまったのか。
星原くんにはもう会えないのだろうか。
半年経った今でも、彼のことを考えるのはやっぱり苦しかった。