このせかいに在るがまま
星原くんは、小学校のころまでこの辺りに住んでいたらしい。
両親とお姉さんと星原くんの4人家族だったけれど、お父さんは単身赴任で県外に出ていて、お母さんも仕事に熱心な人で、星原くんとお姉さんは幼いころは祖母の家で育てられていたという。
この小学校は星原くんが通っていた学校で、昔からよく、お姉さんと一緒に夜に忍び込んできていたみたいだ。
始まりは単純で、忘れ物をしたから取りに行きたいけれど怖いから付いてきて、というもの。
好奇心で屋上に行ったらドアが開いていて、立ち入り禁止というテープが見かけだけだったことを知った。
『ねえ、入ってみようよ』
『防犯カメラとかついてないのかな』
『この学校にそんなのあるわけないじゃん。絶対バレないよ』
そうやって、彼等はこの星原に出会ったのだ。
当時、お姉さんは小学6年生、星原くんは小学5年生だった。