このせかいに在るがまま






目的を達成したので、おれはすぐに姉ちゃんに「もう帰ろう」と言った。


ばあちゃんが心配する。もし、おれたちが居ないことに気付いて、あの覚束無い足取りでおれたちを探しに来たら?もし、その途中で事故にあったら?



おれはいつもそう。嫌な未来を想像して、勝手に不安になって止まらなくなる。

姉ちゃんは、そんなおれにいつも「まあなんとかなるでしょ」と笑いながら言うのだった。


まるで正反対。それで本当に何とかならなかったらどうするんだよ…とら姉ちゃんと兄弟であることを少しだけ恨んだ。




「夜の学校ってワクワクするね」



悪戯っぽく笑う姉ちゃんに、おれはため息をついた。ワクワクするとか言っておいて 歩く時におれの手を離さないのは誰だよ。「怖い!なんか出そう!」とか言って震えてるくせに……、姉ちゃんは矛盾してる。


そんなことを思いながらも、姉ちゃんをひとり置いて帰るわけにもいかなかったので、おれは彼女のワガママを呑み込んで一緒に校内を探検したのだ。



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