このせかいに在るがまま
現に、この1週間も恒例のごとく毎日上靴探しから始まり、旧校舎の空き教室でおひるごはんを食べていた。
水をぶっかけられたり机に落書きをされるのは日常茶飯事で、わたしの感覚もだんだんおかしくなっていたのかもしれない。
滝口くんに頭を撫でられ、それからいちごみるくをかけられたときの不快感に比べたら、山岸さんたちからの行為は可愛いものだ。
けれど、それでも今日はなんとなく違和感があった。
放課後に絡んでくるのもおかしいけれど、何より、わたしは今遊びに誘われている。嫌な予感を感じない方がおかしいと思う。絶対に裏がある。
バイトがあるのも本当だけど、バイトがなかったとしても絶対に行きたくない遊びの誘いだった。
大方、都合の良い金づるにされるか、変な男の人のもとに連れていかれるかの二択だろう。なんとしてでも断りたい。
「…や、わたしは本当にバイトに行かないといけないから」
「はぁ~?そんなのサボれよ。優等生のくせして学校だってサボってんだからさぁ」
ちょうど先週の金曜日の話をしているのだろうか。やはり鼻に付いたのかもしれない。
肩に手を回され、首ごとぐいっとひっぱられた。首が閉まり、すこしだけ苦しかった。