このせかいに在るがまま
山岸さんはわたしのことを貶めるか、都合の良い金づるにするかの二択が目的で声をかけてきたのだと思ってた。
けれど実際は、わたしが星原くんと身体の関係を持っていると勘違いし、そこに至った経緯を聞き出してあわよくば自分も星原くんとそうなりたいと思っているようだ。
男女が仲良くしていたら“そう”なのだろうか。
全て身体の関係に結び付くというのなら、山岸さんと滝口くんもそういう関係があるということなのかもしれない。
自分にとっての普通を他人の押し付ける、そういう世界を生きている。
だからこの世界が嫌い。
だから、不満ばかりが募っていく。
「星原くんとは、…星をみた、だけ」
「はぁ~?なにそのつまんない冗談」
「嘘じゃない。信じてもらわなくてもいいけど、そういう事実がないから、『星原くんにヤラせてもらう方法はわからない」
星原くんはともだちじゃない。
わたしたちは、そんなにきれいなものじゃない。
「だから、山岸さんの汚い世界と一緒にしないでほしい」
そして同時に、簡単に同じにされるような汚い世界では、決してなかった。