このせかいに在るがまま
「ねぇ芽吹」
前髪をつかまれ、無理やり上を向かされる。ぶちぶちと音がして、何本か髪が抜けた感覚があった。
わたしのことを人とは思っていないみたいだ。
これをやったら痛いとか、こうしたら苦しいとか、そういうのを考えはしないのかもしれない。
「勘違いしてるようだから教えてやるよ。あんたみたいな、クラスの3軍にもなれないゴミがあたしに口答えとかありえないわけ。見たらわかるっしょ?このクラス、あたし以外みーんな2軍以下。あたしがいないとなぁんにもできないクズばっか」
――おまえも、こいつも、こいつも、
そういって山岸さんはひとりひとりを指差して、はっと笑う。
「あんたらなんか、男にすら求めてもらえないんでしょ。女としての価値終わってんね」
発言も行動も価値観も、なにひとつ理解したくないと思ったのは、彼女が初めてかもしれない。
彼女の全てが、酷く鼻についた。