このせかいに在るがまま






つい1か月前、席替えが行われる3日ほど前の話。




バイト終わりに変なおじさんに絡まれているところをクラスメイトの女子にみられて、次の日学校でよからぬ噂を立てられた。


おじさんのことはたまたま煙草を吸いに外に出た30代半ばのイケオジ店長が撃退してくれたので助かったけれど、店長がおとなの男の人だったことも相まって、ありもしない噂の内容はひどいものだった。



リーダー格の女子はもともと誰とも仲良くしない1匹狼タイプのわたしのことが気に食わなかったみたいなので、弱みをつかんだ気分になっているみたいだ。


噂を否定するわたしの声は、だれの耳にも届かないまま1か月がたった。おまけに隣の席が人気者の星原くんと来たものなので、状況は最悪と化した。




「死にたいとか、思わないんだ?」




星原くんはさっきから質問ばかりをする。


べつにわたしを取り囲む環境が彼にバレたところで何も問題はないけれど、それにしても、そんなことを聞いてなにになるのだろう。




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