御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
『えー! おめでとう! よかったね。両親揃ったほうが芽衣のためにも絶対にいいよ!』
自分のことのように喜ぶ茜に私はなにも言えない。言われた内容が胸に刺さった。そして発言を振り返って思うところがあったのか、電話口で茜が軽く息を吐く。
『ごめん。早希にしたら簡単に喜べる話じゃないよね。勝手なこと言っちゃった』
「ううん。ありがとう。私もわかっているんだ」
たとえ、割り切った結婚だとしても、少なからず社長は歩み寄ろうとしてくれた。今日だって仕事が終わってからではなく、茜から連絡を受けてすぐにここに来たらしい。
意外だ。そういえば左手を取られたとき、社長の手は心なしか冷たかった。もしかして、少しは緊張していた?
『川上次第だ』
そう、なのかもしれない。
『まぁ、もう少し時間をかけて考えてもいいんじゃない? 彼とダメだと思ったらうちのお兄ちゃんがいるし。早希と芽衣が親戚になるなんて大歓迎!』
こういうノリは尊さんと似ていてさすがは兄妹というべきか。しばらくやりとりし茜との電話を切った後、芽衣と共に横になる。
彼自身に言ったように、社長にとって結婚はビジネスみたいなものだから、なんの迷いもなく私に提案できたんだろうな。
『早希』
不意に彼が口にした名前が脳内で再生され、頭を横に振る。社長は自分で決めたことに対しては、いつも真面目で真摯に取り組む人だったから、それの一環だ。
なにより彼の結婚観はよくわかっている。
自分のことのように喜ぶ茜に私はなにも言えない。言われた内容が胸に刺さった。そして発言を振り返って思うところがあったのか、電話口で茜が軽く息を吐く。
『ごめん。早希にしたら簡単に喜べる話じゃないよね。勝手なこと言っちゃった』
「ううん。ありがとう。私もわかっているんだ」
たとえ、割り切った結婚だとしても、少なからず社長は歩み寄ろうとしてくれた。今日だって仕事が終わってからではなく、茜から連絡を受けてすぐにここに来たらしい。
意外だ。そういえば左手を取られたとき、社長の手は心なしか冷たかった。もしかして、少しは緊張していた?
『川上次第だ』
そう、なのかもしれない。
『まぁ、もう少し時間をかけて考えてもいいんじゃない? 彼とダメだと思ったらうちのお兄ちゃんがいるし。早希と芽衣が親戚になるなんて大歓迎!』
こういうノリは尊さんと似ていてさすがは兄妹というべきか。しばらくやりとりし茜との電話を切った後、芽衣と共に横になる。
彼自身に言ったように、社長にとって結婚はビジネスみたいなものだから、なんの迷いもなく私に提案できたんだろうな。
『早希』
不意に彼が口にした名前が脳内で再生され、頭を横に振る。社長は自分で決めたことに対しては、いつも真面目で真摯に取り組む人だったから、それの一環だ。
なにより彼の結婚観はよくわかっている。