御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
Mistake3 TPOを考える余裕をもちましょう
 何度あのときの夢を見ただろう。もしかすると妊娠と出産を知った社長が突然私の目の前に現れたのも夢の延長なのかもしれない。

 夢現(ゆめうつつ)で目が覚めて、すぐそばにある芽衣の寝顔を眺める。たった一度だけ見たことがある彼の寝顔とかぶり頭を振った。

 そのときメールの着信音が鳴る。慌てて手に取り差出人を見て、頭が一気に冴えた。社長からだ。

 昨日の出来事はやはり夢でも妄想でもなかったようで、今日も仕事帰りにここを訪れるという内容に、私はつい『承知しました。お気をつけて』と秘書仕様で素早く返してしまった。

 いやいやいや。なにをやっているの、私は……。

 社長から連絡が来たのが久しぶりで思わず反応してしまった。というか連絡先を消してなかったんだ。

 秘書をやめて彼の元を去ったときでさえ電話どころかメールのひとつもなかったのに。
  
 やっぱり子どもの存在は大きいんだな。

 もう少し片付けと掃除をしておこうとひそかに決意し、慌ただしい一日が始まった。
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