御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
Mistake4 たまには甘えてみるのも大切です
 明臣さんは都合がつく限り、ほぼ毎日顔を見せにやってきた。おかげで芽衣も彼の顔を見ると自分から抱っこをせがむようになるほどに受け入れている。

 嬉しいような、彼とは今後どんな関係を築いていけばいいのか悩むところだ。

 秋も深まる十一月の最初の週末、約束していた通り私と芽衣は明臣さんと出かけることになった。

 行き先などは任せていたけれど、前日になって向かう先がまさかの高級リゾートホテルでさらには泊まりと聞いたときには、びっくりしてしばらく言葉を失った。

『そ、そんなところに芽衣を連れていくわけには……』

『むしろ芽衣が一緒だからいいんだ。ファミリー層も多くて子連れを対象にしたサービスも充実しているから』

 イメージが先行してあたふたしてしまったが、どうやら私が想像するより幼い子どもも楽しめるようになっているらしい。

 ある意味、天気や気温に左右されずホテルならお昼寝やオムツ替えなど芽衣のペースで過ごせるからいいのかな?

 前向きに気持ちを切り替えたところで、思考は別の角度に移る。

『泊まり……なんですよね?』

 そろりと尋ねると明臣さんは首を傾げて聞き返してくる。

『なにか用事でもあるのか?』

『あ、いえ……』

 とくに予定があるわけでもなく週末の土日はどちらも空いている。泊まりだということに引っかかったのは私だけで、明臣さんはまったく意識している様子もない。

 芽衣もいるのだから当たり前か。

 結婚を申し込んだのだって芽衣がいるからで……。私たちの関係はそれ以上でもそれ以下でもない。

 自分の中で改めて認識し、私は彼の誘いに応じた。
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