みやとロウ。
魂喰らいは数百年に1度
人間の淀み穢れの中から生まれ落ち
現世に禍(わざわい)をもたらす

それ自体に繁殖能力はなく
血を繋いで生き残る類いのあやかしではない


だけど、記憶喰らいは違う


遥か昔から
連綿(れんめん)と血を繋いで
今も、生き続けているあやかし


記憶喰らいが人に与える影響は大きい

けど、それ自体は
さほど強いあやかしではない

隙をつかれでもしない限り
力ある者が相手なら
あっけなく、退治できてしまう


問題は、記憶喰らいは隠れる事に特化したあやかしだということ


神である塞ノ神さまでさえ
見つけ出すのが困難なほど


猪や兎、狐…
色々な生き物の身体に憑依して
各地を移動しながら、身を潜めてる




そこまでは、前にしおりに聞いた

だけど、その数までは聞いていなかった



「残りは――…1体」



ばちっと、囲炉裏の炎が爆ぜた



「そして、それが
道祖神様が何百年と探し続けていた
件(くだん)の記憶喰らい」



「あの方々の因縁のあやかしです」
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