みやとロウ。
………。



「黙っていようと思いましたが
このままでは、あなたが無茶無謀な真似をしそうなので、お教えします」


言葉を失う私を、じっと見つめて
しおりは神妙な面持ちで口を開く


「その記憶喰らいの目撃情報が入りました」


「場所は隣県」


「祓い屋、その地の神々、眷属が
現在も捜索に当たっています」



……


…………塞ノ神さまが、ずっとずっと探してたあやかしが近くにいる



「……だから、塞ノ神さま
少し、様子がおかしかった?」


霊泉から戻ってから、少し違った

本当に微かに感じていた違和感

いつもと違う塞ノ神さまの雰囲気


上手く説明できないけど
空気がぴりつくような
揺れるような感覚があった



「長年、探し続けたあやかしが
すぐ近くに現れたとなれば
内心穏やかではないでしょう」


「……ロウ
ロウは?この事…」


「知らされてないでしょう
道祖神様は、あの方を記憶喰らいに近付けさせたくないようですから」


「俺も、あの方には何も伝えないようにと、口止めされています」


「命じられて『外』に行っているそうですが、それも記憶喰らいとは無関係でしょう」
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