みやとロウ。
ほっとした


私も塞ノ神さまと同じ考え

ロウを記憶喰らいに近付けさせたくない


辛い記憶、悲しい記憶

思い出す呼び水を与えたくない



「みや」



「知り得る限りの護法は教えます
考えたくはないですが
仮に記憶喰らいと遭遇してしまった場合
あなたが無事に逃げられるように」


「けれど、あれを倒そうと思わないで下さい
申し訳ないですが、今のあなたにはその力はない」


「救いたい、守りたい
あなたのその気持ちはとても尊いものです
ですが、その想いで全てを解決出来るほど
甘くはない」


「…うん」


本当なら関わることさえ許したくないだろうに

こうして、記憶喰らいの情報を与えて

きちんと知らせてくれた



しおりの優しさを裏切るような真似は出来ない



「みやはみやを守れるように頑張る」



少し前までは、その術(すべ)さえ知らなかった

守られるばかりで


でも、今はそれを教えてくれる相手がいる



焦る気持ちはある


でも


誰かを守る前に、自分を守らないと

自分を守れない人間が
誰かを守ることなんて、きっと出来ない


まずは自分



最初はそれから



今の自分に出来ることをしよう
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