みやとロウ。
しおりの口から直に
辛いと言う言葉を聞いたのは始めてだった
あの場所から抜け出したと言っても
受けた傷は消えない
癒えることはあっても、傷跡は残る
完全には消せない
それに、子供の頃にあった出来事は
その後の人生に大きな影響を与える
それでも、しおりが今
こうして笑えるのは
きっと、斎家の人達と出会ったからなんだろう
気持ち悪がられ、蔑まれ
疎まれた自分の力を生かせる道を見つけた
そのままの自分でいていい場所を
祓い屋として生きる道を見つけたから
合わないものや合わない人、環境があれば
その逆もある
狭い場所
閉ざされた世界の中では
それに中々、気付けなくても
そこだけがすべてじゃない
きっかけさえあれば
いくらだって、世界は広がる
「みや。
あの場所が、世界の全てではない事を
あなたは知っている」
まるで、今の自分の心を読んだかのように
向けられた言葉
少し驚きながらも、こくんと頷く
知ってる
知った
きっかけを貰った
あの日、ロウに出会ったこと
逃げ場所も、安らげる場所も
自分が自分でいられる場所も
この世界には確かにあるんだって
「俺はまだ、年若く
人としても祓い屋としても未熟です」
自分の手のひらを、じっと見つめて
「ですが」
「すべては無理でも
自分の手の届く範囲の人を助けられるくらいにはなりました」
なにかを掴むように優しく握り締める
「だから、みや」
向けられた、まっすぐな眼差し
「――――――――」
それと共に
しおりの口から発せられたその言葉に
私は驚いて
あまりに突然の事で、何も言葉を返せず
その時は、ただ呆然と
しおりを見返すことしか出来なかった
辛いと言う言葉を聞いたのは始めてだった
あの場所から抜け出したと言っても
受けた傷は消えない
癒えることはあっても、傷跡は残る
完全には消せない
それに、子供の頃にあった出来事は
その後の人生に大きな影響を与える
それでも、しおりが今
こうして笑えるのは
きっと、斎家の人達と出会ったからなんだろう
気持ち悪がられ、蔑まれ
疎まれた自分の力を生かせる道を見つけた
そのままの自分でいていい場所を
祓い屋として生きる道を見つけたから
合わないものや合わない人、環境があれば
その逆もある
狭い場所
閉ざされた世界の中では
それに中々、気付けなくても
そこだけがすべてじゃない
きっかけさえあれば
いくらだって、世界は広がる
「みや。
あの場所が、世界の全てではない事を
あなたは知っている」
まるで、今の自分の心を読んだかのように
向けられた言葉
少し驚きながらも、こくんと頷く
知ってる
知った
きっかけを貰った
あの日、ロウに出会ったこと
逃げ場所も、安らげる場所も
自分が自分でいられる場所も
この世界には確かにあるんだって
「俺はまだ、年若く
人としても祓い屋としても未熟です」
自分の手のひらを、じっと見つめて
「ですが」
「すべては無理でも
自分の手の届く範囲の人を助けられるくらいにはなりました」
なにかを掴むように優しく握り締める
「だから、みや」
向けられた、まっすぐな眼差し
「――――――――」
それと共に
しおりの口から発せられたその言葉に
私は驚いて
あまりに突然の事で、何も言葉を返せず
その時は、ただ呆然と
しおりを見返すことしか出来なかった