みやとロウ。
「今度は何があった」

「…」


ロウのおなかに顔をうずめて
終始無言で丸まっていた私

何かあったのは明白な
あからさまな態度

見かねたロウはため息混じりに
声をかけてきた


ちらりと顔をあげ、ロウを見る


少しだけ言うのをためらって
でも、結局口を開いた


「……斎の家にきませんかって」


昨日、しおりに言われた言葉を伝えれば
ロウはぴくんっと耳を動かした


「祓い屋がお前を引き取ると?」

「うん。みやがいいなら
後見人になってくれるって」

「それは良いことじゃないのか?」


ロウは私が浮かない顔をしてるのが不思議なよう

どうして
すぐにその誘いを受けなかったのかと
目で訴えかけてきた


「家族が欲しいと言っていただろう」

「……言った」

「あれは、お前の体質を知っている
お前を祓い屋にするために言ったわけでもないだろ」


そう

しおりはただ、私が自由に生きられるように
好きな時に、好きな場所に行って
好きなことを出来るように
居場所を与えてくれようとしてる


自分がそうしてもらったように


同じ苦しさを経験したからこそ
その渦中にいる私を
助けたいと思ってくれてる
< 106 / 162 >

この作品をシェア

pagetop