みやとロウ。
しおりの所に行けば
きっと、今よりずっと生きやすくなる

もう苦しい思いをしなくていい

寂しさや痛みから解放される


願ってもない、ありがたい話



…………だけど



「…」



……………誰でもいいわけじゃない



しおりは優しいし、好き

同じような境遇だから
解り合える事も多い

傍にいても『貰わない』から
苦しくならないし

一緒にいて、居心地がいい


でも


私が、傍にいたいのは


一緒にいて欲しいのは


『家族』になって欲しいのは――



「ちょうどいい」


ぎゅっと胸元を握り締めたのと
ふわふわの感触が離れていったのは、ほぼ同時


起き上がったロウは
私の正面に移動して、じっと私を見下ろした


「ロウ?」


「みや、お前に言いたいことがある」


……なんとなく、嫌な予感はした

だけど、それを拒むことは出来なくて
恐る恐る訊ね返す


「なに?」


でも、やっぱり拒めば良かったと
この後、激しく後悔した



「もうここへは来るな」
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