みやとロウ。
固まる私をよそに
ロウは淡々と話を進める



「あの祓い屋のそばにいれば
『貰った』としても、問題ない」


「斎の家の庇護下に入れば
身の安全は保障される」


「お前の望む『普通』が手に入る」



違う


聞きたいのはそんなことじゃない



「もうじき、塞ノ神が来る
あいつにも別れを言っておけ」



待って


勝手に話を進めないで


混乱してるのに


こんな急に



震える唇は何も言葉を紡いでくれない


頭がぐちゃぐちゃで、考えがまとまらない



なのに、ロウは待ってくれない



「じゃあな」



あっさりとした別れの言葉を残して
そのまま去っていこうとするロウ



「………ろ、ロウ……っ」



ようやく口が動いた

呼び止めようと必死に名前を呼んだけど
ロウが振り返ることはなく

そのまま、私の前から姿を消した



「………」



私は、塞ノ神さまが来るまでずっと
魂が抜けてしまったかのように
呆然とその場に立ち尽くした
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