みやとロウ。
………曲霊は、感情や記憶に縛られている



強い未練



忘れられない思い出



大事な、記憶




「……」



…………嫌な考えが浮かんだ




『記憶』に縛られている曲霊は多い


一番、大切にしている記憶
その人、その出来事が
そのまま未練や執着に繋がって
ここに留まっている曲霊もたくさんいる


いともそう



……


………もし、記憶喰らいが
肉体を失い
魂だけの存在になった『人』からも
その『記憶』を奪うことが出来たとしたら……?



「………曲霊の記憶も、食べるとしたら?」



しおりは言った

捜索の範囲を広げていると

ならきっと、記憶喰らいは
追手を警戒して、人里には近付かないだろう


だけど


記憶喰らいも生き物


食べなければ死んでしまう


でも、人里には近付けない



………なら、どうする?




「…………別の場所で、エサを探す……」




人里から離れていて
人が寄り付かず
身を潜めるのにも都合がいい



たくさんの『記憶』が集まる場所



この場所は、格好の穴場




「………知らせなきゃ」



塞ノ神さまやロウなら
すぐ違和感に気付くはず

でも

塞ノ神さまは
最初に目撃情報のあった隣県の捜索に加わってるって言ってた

今は留守にしてるかもしれない

ロウも神域内に居たなら
外で起こってる出来事に
すぐは気付けないかも
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