みやとロウ。
いつか視た、いとの記憶の中にあったもの



姿は違う



だけど



………同じ、目




あれは……




「………記憶、喰らい…」



どくん、どくんと心臓が激しく鼓動を打つ

耳から心臓が出てくるんじゃないかって位
うるさい

冷や汗が止まらない

いとの記憶を追体験したあの時みたいに
全身が恐怖で震えて

その場にうずくまってしまいそうになる



なんで今


なんで、このタイミングで



恐怖と動揺、焦る気持ちが混ざりあって
頭の中は大混乱


固まる私を
離れた距離から記憶喰らいは観察し続けている


目を逸らしたいのに、逸らせない



これもあの時と一緒




……
………なに、これ……



頭の中を覗かれているような感覚




………気持ち悪い




見られてる。記憶を




怖い




「!」




微動だにしなかった記憶喰らいが
まるで吟味し終わったと言わんばかりに
突然、動き出す


ゆっくりと近付いてくる


私の方へ




確実に標的にされた




走れない


足が地面に根を生やしてしまったかのように、動かない
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