みやとロウ。
記憶喰らいは何事もなかったかのように
また、ゆっくりと歩を進める


一歩また一歩と、着実に私に近付いてくる



………このままじゃ、食べられる


どうしよう


どうしたら…



汗ばんだ手で、ぎゅっと扇を握り締める




………



その時、ふっと脳裏を過ったひとつの方法



……。



試したことなんてない

出来るかどうかも分からない

失敗したらどうなるかも分からない



だけど



「…………待ってて、ロウ」



今度はちゃんと、自分の気持ちを伝える


言いたいこと、全部言う



あれを最後になんてさせない



絶対に





「…」




震える手で扇と護符を掲げて
私は目の前までやってきた記憶喰らいと対峙した
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