みやとロウ。
―――……




「……や」



「……みや」



「みやっ!」



遠くから何度も何度も、自分を呼ぶ声

段々と意識が浮上して
ゆっくりと目を開く




「みや!!」



すぐ傍に、ふたり

地面に倒れていた私を不安気に見下ろしていた



「……しおり…」

「良かった。怪我はしてないですね」



ゆっくりと起き上がれば
しおりは安堵したように息をついた


「…」


頭の中が、もやが掛かったかのように
ぼんやりしてる

私は一体何をしていたんだろう

直前の出来事を思い出そうとしても
頭の中は真っ白に塗りつぶされたまま

何も思い出せない



「みや」



意識を取り戻し
しおりと会話をする私を見て
ほっとしたように、表情を緩めたそのひとが私を呼ぶ



「…」



私はじっと、その顔を見つめて



「…みや?どうしました?」



無言の私を訝るように
しおりが問いかける






「……しおり。このひとはだれ?」





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