みやとロウ。
私が放ったその問いかけに
その場がしんと静まり返る


驚愕の表情を浮かべるしおりと
誰だか分からないもうひとり



続く沈黙


重くなる空気



状況が理解できず、首を傾げる


何かまずいことを言ってしまっただろうか



「………みや、分からないのですか
この方は…」


「いい」


すっと、右手をしおりの前に出し
戸惑うしおりの言葉を遮るそのひと

綺麗な顔がなんだか悲しそうに歪んでいて


すごく、苦しそうに見えた



私がそうさせてしまったのだろうか


もしそうなら、謝らないと


そう思って、口を開こうとしたけど



なんだか、身体が重くて

頭のぼんやりがまた大きくなって


ふらふらとそのひとの胸に倒れ込む


私を受け止めたそのひとは
再び、眠りに落ちようとした私を静かに見つめて



「…」



とても悲しそうに微笑んだ





瞳を閉じる直前に



その綺麗な目に
絶望の色が滲んでいくのを間の当たりにして



どうしてか






ひどく心が軋(きし)んだ
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