みやとロウ。
「!?」



突然訪れた衝撃と共に
ぐるんと視界が反転して



「…」



気付けば床にひっくり返っていた



とっさに受け身を取ったおかげで
外傷はない

けど、何が起こったのかは把握できず

呆気に取られる私の上で、綺麗な青が
じっとこちらを見つめていた


ぴんっと立ったふわふわの獣耳

左右に揺れるふさふさの尻尾

雪のように真っ白な毛並み



「…………おっきい……犬?」



「こら!はす!!」


声を荒げながら
勇太郎は私の上にどっしりと
のしかかっていたその犬を引き剥がす


「…はす?」

「シベリアンハスキーのはす
うちの飼い犬」


勇太郎に叱られてもなんのその
その大きな犬、はすは嬉しそうに
勢い良く尻尾を振り続けてる


「悪いな、みや
こんな図体で、狼みたいな顔してるけど
人懐こいやつなんだ」



勇太郎が落ち着かせるように撫でてやれば
はすは気持ち良さそうに目を細めて

それから、再び私の傍にやってきて
今度はお行儀良くお座りをした

どうやら、私にも撫でて貰いたいみたい


そっと、その身体に触れる



ふわふわで、もふもふの感触



……。
………なんだか、とても懐かしい



………



さっきから既視感がある



大きな犬

狼みたいな顔つきで

ふわふわ、もふもふの身体



……前にも、どこかで似たようなものを
見た気がする


触れたことがあるような……



……………どこで……?
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