みやとロウ。
息が切れる


目的の場所までもう少し



その道すがら


赤い鳥居が目に留まり、足を止める



道祖神社、と記されたその鳥居を前にして
私はそっと、手首の組み紐に触れた



『お守り』



……誰に貰ったのか
いつ貰ったのか思い出せなくて


でも、ずっと大切にしてきたもの




『またおいで』



『僕はきみを拒否しないよ』



『特別だよ』



『君が望むなら叶えてあげよう』




『居たい場所は自分で決めなきゃね』




子供のように無邪気で、少しお茶目で



人が、大好きで


人に、とても甘い



優しい神様



「……塞ノ神さま」


ぎゅっと目を閉じて
胸元で抱き締めるように組み紐を握り締める



…………行かなきゃ



顔を上げて、私はまた走り出した
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