みやとロウ。
森の奥へと続いている1本の獣道


曲霊を追い越して、先を急ぐ




……はやく




はやく、はやく、はやく





会いたい






はやる気持ちとは裏腹に
全速力でここまでやってきたせいで
体力は限界を迎えていた


呼吸は更に荒くなり

走るスピードは徐々に落ちて

歩くのがやっとの状態に



「っ!」



そこで、つん、っと
小さく浮き出た木の根につまづいて
盛大に転倒


全身に広がる痛みに顔をしかめる


転んだ拍子に、ひざを擦りむいてしまい
じわじわと血がにじんでいた



「……~~っ」



………急いでるのに…



呼吸は苦しいし

足は重いし

転ぶし

怪我はするし



………もう…やだ…



思うようにいかなくて
癇癪を起こしそうになる




「…………痛い…」



たいした怪我でもないのに
無性に痛く感じて


涙がにじむ









「……みや?」









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