みやとロウ。
「……分かるのか?」


疑うような声が耳元で響く

喉に引っ掛かって、上手く言葉がでない
代わりに何度も強く頷く



「…」


ロウはそれ以上何も言わず
だけど、確かめるように私の顔に触れて
じっと私を見つめた後



強く私を抱き締めた





……



………ロウの、匂い…



体温、感触



日だまりの中にいるような


何年経っても変わることのない
優しいあたたかさ



懐かしくて、嬉しくて、安心して
涙はさらに溢れて
しばらく止まらなかった
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