みやとロウ。
「ねぇ。みや」





「もう一度、抱き締めてもいいかい?」




ロウと同じように


私がいないことに
寂しさや悲しさを感じてくれたひと


帰ってくることを
ずっと、待ってくれていたひと








言葉で応えるより早く、体が動いた


塞ノ神さまに勢い良く抱き付く

いきなりで油断していた様子の塞ノ神さま
体が少しよろめいたけど、それでも
しっかり私を抱き留めた


泣きながらすがり付く私に
ほんの少しだけ驚いて

だけど、その後

こぼしたのは嬉しそうな笑い声



背中に回った優しい手の感触




「……本当に、人の子は愛しいなぁ」




幸せを噛み締めるような優しい声が






心に滲んで、溶けていった



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