みやとロウ。
番外編3
「お前は、まだ自分を名前で呼んでいるのか?」


唐突なそんな問いかけに
私はきょとんとして
それから、自分の口許に手を当てて
苦笑した



「なんかね
無意識に自分を名前で呼んでるみたい」



この4年間はずっと
一人称は『私』だった


だけど、最近


斎の人達に
一人称がみやになってるねって言われて
ようやくそれに気付いた


だから
気を付けるようにはしてたんだけど


ロウがそう言ってくるって事は
また、みや呼びになっていたんだろう



「記憶を思い出して
4年前の自分に戻ったような感覚が続いてるせいかな」


「不安か?」


あの頃の私が
自分を名前で呼んでいた理由を知っているロウは、少しだけ気遣うように聞いてきた

私は首を横に振って、微笑んだ


「ううん。今は…本当はあの頃だって
私を呼んでくれるひとはいたから」
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