みやとロウ。
でも、ちゃんと出会えてた


私を呼んでくれるひと

気にかけて、傍にいようとしたひと

ちゃんと、私を見て、知って

受け入れてくれたひと


大事に想ってくれるひと




「みや」



なんだか泣きそうになって
とっさに目元を押さえて、うつ向いた私を
優しくロウは呼ぶ



「……私ね
ロウに名前を呼ばれるのが一番好き」



ロウの口から紡がれる自分の名前は
とても優しくて、安心する



「みや」



もう一度、ロウが私を呼ぶ


頬に伸びてきた手を掴んで、顔をあげる


ほんの少し
滲んだ視界にいたロウは真剣な顔


私の過去を、気持ちを汲み取って
こうして心を傾けてくれる

当たり前のように、傍らにいる



そんな、あなたにどれだけ救われたか




「名前を呼んでくれて、ありがとう」



一緒にいてくれて、ありがとう



「あの日
私を見つけてくれて、ありがとう」



出会ってくれて、ありがとう



「幸せを、ありがとう」



伝えきれない、たくさんのありがとう


めいいっぱいの笑顔を向ければ
目を丸くしていたロウは
応えるように、微笑んで


そっと私を抱き寄せた



優しいひだまりの中



幸せに包まれて、私はゆっくりと瞳を閉じた
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