みやとロウ。
……好きで、ここに来たんじゃない

望んでここにいるんじゃない


みやだって、帰れるなら帰りたい



「傲慢だな
『渡して』おいて疲れるも何もないだろう」


「お前がいるから
淀みは解消されていると言うのに」


「表面的なものしか見えない
これだから人間は救えない」

「…みやも人間」

「そうだな
だが、お前は少し特殊だ」

「……どうせみやは変な子だもん…」


悲しいのと落ち込んでるのと
卑屈になっているのもあって

いじけるようにロウに言葉を返して
私は再び膝に顔を埋めた



「…………どうせ……みやは…」



―――いらない子だもん



「鬱陶しい」

「!?」


ぐいっと身体が引っ張られて


次の瞬間


目の前にはもふもふの獣耳


ロウの背中…と言うか頭?に乗ってることに気付いて
びっくりして目を瞬かせる


「…ロウ?」

「黙って乗ってろ」


おずおずと起き上がって
脇からロウに声をかければ
ロウはのしのしと歩き出す

高くなった視界

見下ろすロウの表情はよく分からなくて


ただ


「…」



…もふもふ…ふわふわ……


なんとも言えない柔らかさ
触り心地の良すぎる毛並み

その感触を前にして
欲求に抗えず、私はぽすりと横になった
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