みやとロウ。
「…」

「起きたか」

「…起きた」


目覚めれば、すっかり体は軽くなっていて
気持ちも楽になっていた


「ロウ。ありがとう」

「暗くなる前に帰れ」

「…もうちょっと、だめ?」

「だめだ。「外」は日暮れだ」

「……わかった」


しぶしぶ起き上がって、ロウから離れる

すごすごと岩から降りようとして


「!」


ふわりと体が宙に浮いた


「…ロウ?」


まるで子猫を運ぶ親猫のように
私の洋服の首根っこをくわえて

ぽいっと自分の背に放り投げる

ロウの背中に着地した私は
きょとんと首を傾げた


「境目まで送る」


そう言って、岩から飛び降りたロウ


ぶっきらぼうな優しさに私は小さく笑って
ロウの背中に顔を埋めた
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