みやとロウ。
「…」



ほんの数秒、瞬きしてる間に


綿毛は姿を消していた



「きみが『みや』だね?」


そっと私から離れたそのひとは
変わらず優しい表情を浮かべながら、私を見下ろした



……綺麗な、色


翡翠色の、宝石みたいに綺麗な目


見たことのない珍しい色の瞳に
私のそれは釘付けになった



「…どうして知ってるの?」

「ロウから聞いてるよ」



…ロウ?



「初めまして。僕は塞ノ神
一応、ここの守り神(もりがみ)だよ」


「さえの…神さま?」



『この地の『神』が護る場所』



……このひとが
ロウの言っていた『神』さま?



…。



「…さっきの、なに?」


予想もしていなかった人物の登場

驚きつつも
消えた綿毛の事が気になって


「あれは『曲霊』
簡単に言うと、死んだ人の魂だよ」


「未練があったり
行く場所が分からなかったり
悪いもののせいで行きたい場所に行けなかったりしてる魂
ここにはたくさんいるんだ」


「いつもは見ない」


「みやはいつも森の内側にいるだろう?
内側は僕の神域だから」



…あ…


そういえばロウも言ってた

結界の中には良くないものは入って来れないって
< 27 / 162 >

この作品をシェア

pagetop