みやとロウ。
頭上で交わされる言葉の攻防戦
それをぽかんと聞いていた私



…。



静かになったと思えば
不意にロウが私の洋服の襟足部分をくわえて、立ち上がる



「黄昏時だ。貰っていくぞ」



どうやら『外』はもう夕方らしい


空を見上げる


澄み渡った青空に、ぽかぽかと明るい日の光

それだけ見ればまだ昼日中

だけど
森の『中』は『外』と違った時間の流れで動いてる


朝と昼と夜のサイクルは同じでも
『外』と同じ時間の感覚で変わる風景じゃないから

森の『中』は昼間でも
『外』はもう夕方なんて事がしょっちゅうある


門限があるから
一応、時計は持ってきているけど
大抵は確認する前に、ロウが私を境目まで送ってくれる



「みや、またおいで。
今度はおやつを用意して置くから」



変わらず穏やかな笑みを浮かべながら
塞ノ神さまは私に手を振った
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