みやとロウ。
引き取り手の見つかった勇太郎は
もうすぐ施設を出る

なんだかんだで
勇太郎とは長い付き合いだったから


たくさん話したり、遊んだりはできなくても


一番『友達』に近い相手だったから



「……後、………いいなって…」



勇太郎の『寂しい』『悲しい』がなくなるのが嬉しい

勇太郎が『自分の居場所』を見つけられたことが嬉しい



でも



嬉しいのと同じくらい、寂しくて



……羨ましい




「……みやも……『家族』が欲しい」




『帰れる場所』


『一緒にいてくれるひと』



『家族』が欲しい




「………さみしい…」



ぎゅうっとロウに抱きついて
隠すようにその体に顔を埋めた



「…」



ロウは何も言わず
そのまま私が眠って起きるまで


ずっと黙ってそこにいた
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