みやとロウ。
「…」


引き取り手が見つからなくても
二十歳になれば、施設を出られる


ずっと永遠に
ここに閉じ込められるわけじゃない


この生活にはちゃんと終わりがある


でも


こんな体質の私が
「外」でひとりで生きていけるのだろうか



帰りたいと願ったあの場所

あの家も、もうなくなってしまったのに


待ってくれる相手も

あそこにはもういないのに



「……ロウ…」



ぐっと苦しくなる胸を押さえながら

すがるように名前を呼ぶ




早く



早く、塞ノ神さまとロウに会いたい
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