みやとロウ。
「それで
みやは一体どうしたんだい?ロウ」

「知らん
来てからずっとこの調子だ」



翌日


走って森にやってきた私は
ロウを見つけるや否や
ロウに抱きついて、ずっと傍から離れずにいた


何も話さず
ずっとそのままで


やってきた塞ノ神さまは
いつもと様子の違う私を見て
こてんと首を傾げてる



「みや、どうしたんだい?何かあった?」

「…」

「知己(ちき)が引き取られたとは聞いた」

「ああ
みやが唯一、施設で関わっていた子か」




「それは寂しいね」



傍に腰を下ろした塞ノ神さまは
なでなでと私の頭を撫でる


「寂しくて悲しくて、心細くなったんだね」


気持ちを汲み取るように
優しく、塞ノ神さまは言う


その声に泣きそうになる



「……みや、…施設に……ひとり」



本当にひとりになってしまった


味方になってくれた相手は

本当の意味で解ろうとしてくれた相手は


もういない


いなくなって初めて
自分があの場所で
いかに勇太郎に支えて貰っていたかを実感する



「うん」

「…戻りたくない…」

「うん」

「………戻りたく、ない…」


ぎゅうっとロウにしがみついて
力なく、駄々を捏(こ)ねるように
同じ言葉を繰り返す


「…」


ロウは相変わらず何も言わない



「よし。分かった」


頷いて
とんとん、と私の肩をたたく塞ノ神さま


「みや
3日間だけ。特別だよ?」

「…?」


顔を上げた私に
塞ノ神さまはにこっと笑った




「お泊まり会をしよう」
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