みやとロウ。
夜の森は初めてだった


塞ノ神さまの庵
その縁側から空を見上げる


真っ暗な空に
明かりを灯すように
きらきら、星が散らばってる


街中から見るよりも
はっきりと、ずっと綺麗に見える




『3日間だけなら構わないだろう?ロウ』

『…好きにしろ』


塞ノ神さまの提案で
急遽決まった『お泊まり会』

絶対反対すると思っていたロウは
意外にもすんなりと許可をくれた


『え?怒られるって?大丈夫大丈夫』


『みやがここにいる間
ちょっとだけ、施設の人達の記憶をいじらせてもらうから』


森に滞在してる3日間の間

みんなの記憶の中から
私の存在を消してくれるという


塞ノ神さまは凄いことが出来るんだなと
感心するのと同時に……安心した


叱られる心配がないこと


戻らなくても良いことに



「…塞ノ神さま」

「うん?」

「……ごめんなさい」



寝床の用意をしてくれていた塞ノ神さま
おずおずと近付いて、うつ向きがちに謝る



「…わがまま言って、ごめんなさい」



塞ノ神さまやロウを困らせるつもりはなかった

だけど、どうしても
嫌だって気持ちを抑えられなくて


戻りたくないって

あんな風に駄々を捏ねてしまった
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