みやとロウ。
目隠しして歩くような状態が続く


気を付けて歩いていたけど
何度か転んでしまって、あちこち泥だらけになる

それでも何とか歩き続けて、ふたりをさがす



「…っ!」



かつん、と


急に足元が崩れるような感覚に驚く


寸での所で体勢を持ち直し
じっと足元を確認すれば


切り立った崖の先に自分が立っていることに気付いた


……暗くて全然見えなかった



……危なかった…

もう少しで崖下に落下する所だった


かなり高さがあるから
きっと落ちたら死んでいただろう


ほっと胸を撫で下ろす



だけど、次の瞬間



「!?」



どんっと強く背中を押されて



階段から足を踏み外すような感覚




そして




宙に浮く身体




「……っ!」



落ちる!!



身体に訪れるであろう衝撃と痛みを予期して、目を瞑る



けど



直前に、とっさに伸ばした手を掴む誰かがいた


ぐいっと力強く引っ張られて



「…」



恐る恐る目を開ければ



私は誰かの腕の中にいた



「…」



じっと私を見下ろすその『誰か』




……この、匂い…




「何をやっているんだ。お前は」




……この声…




目を瞬かせた





「……ロウ?」
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