みやとロウ。
「ロウ。後は僕ひとりで見て回るから
きみはみやを連れて先に戻って」

「分かった」

「…塞ノ神さまは?」

「朝には戻るから
きみはロウと待っていて」


安心させるように笑って
私の頭を撫でてから、塞ノ神さまは
暗闇に溶けるように姿を消した


塞ノ神さまがいなくなるなり
すぐに立ち上がって
私を抱えたまま歩き出すロウ

人と違って夜目が効くのか
すたすたと、道なき道を難なく進んでいく


「みや、ひとりで歩ける」

「そんな状態で歩けるわけがないだろう」


擦り傷、泥だらけで
ふらふらの私を見下ろして
ロウはため息をつく


「…」

「黙って運ばれてろ」






……

……………。




「……なんで泣く?」



歩き始めてしばらくして
不意に私に視線を向けたロウは
ぎょっとしたような表情を見せる

人の姿だといつもより感情の変化が分かりやすい
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