みやとロウ。
……お日様の匂い


「…」


ぼんやりと開いた視界


すぐ傍で
自分を抱き締めるように眠っていたその『人』に一瞬、きょとんとする


…。


……ロウ…


………そうだ、ロウだ


すぐにこの『人』がロウだと
再認識して、じっとその寝顔を眺めながら
昨夜の事を思い返す





『ほら、手当ても済んだ
もう寝ろ』

『……寝たら、ロウいなくなる』

『外にいる
いつもの姿だとこの中は窮屈なんだ』

『…じゃあ、そのままでここにいて』



『……みやの傍にいて』



ロウの服の袖口を掴みながら
うつ向きがちに呟く


またひとりになるのが
不安で不安でたまらなくて

怖くて


視界が滲む



泣かないように唇を噛んで耐えた



『!』

『……さっさと寝ろ』



ロウはそんな私を自分の方に引き寄せて
そのまま布団に横になった


『………もふもふじゃない…』

『人の姿なんだ
当たり前だろう』

『……固い……』

『嫌ならひとりで寝ろ』



……嫌じゃない


ふわふわ、もふもふの感触じゃないけど
あったかくて、優しいのは同じ

お日様の匂いがするのも

包まれてるといつもみたいに安心する



さっきまでの不安や恐怖はどこへ行ったのか

強張っていた体から力が抜けていく



こくりこくりと舟を漕いで

あっという間に私は眠りに落ちた



『……まったく…
手間のかかる子供だ』



そんな
ぶっきらぼうな優しい声が遠くから聞こえた
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