みやとロウ。
「…」


……あったかい…


ロウの胸に顔を寄せて
その心地良さに目を閉じる



とくんとくんと穏やかな心臓の音



眠りながらも
ロウはしっかりと私を抱き締めてくれてる



……誰かに、こんな風に抱き締められたのはいつぶりだろう


あまり抱き締めてもらった記憶がない

甘えた記憶もない


早くにお父さんとお母さんは亡くなってしまって

まわりの皆が
無条件で与えてもらっている『愛情』を


『あたりまえ』の『あたたかさ』を


私は貰えなかった


おばあちゃんは身体が弱かったから

助けなきゃって、支えなきゃって

そればかりで


甘えられなかった




でも



「…」



そっと目を閉じる



…もうちょっと



もうちょっとだけ



このあたたかさを感じていたい



あたたかいこの場所で



もう少しだけ眠っていたい
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