みやとロウ。
ロウの所に辿り着いた時にはもう
すっかり私の心の中は『悲しい』気持ちでいっぱいになっていて


「…っひ、うぇーん…っ」


泣きじゃくりながらロウに抱きつく


「…また厄介な」


言いながらロウは
尻尾を持ち上げて、何かを払うように
ぱたぱたと私の体を叩いた


「…うぅ…っ、ひっく…」

「みや。
『それ』はお前のものじゃない」

「うぇーん…っ」

「同調するな」


ロウの落ち着いた声が耳の奥でこだまして
ざわざわと胸の中に広がって騒いでいた感情が、伝染するように静かになっていく



「…」



ふっと、我に返る



「…あれ…」

「戻ったな」

「ロウ。
…みや、また…」

「ああ」

「…ごめんね。ありがとう」



最近はいつもこうだ


時間が経つにつれて
貰った感情に支配される


自分なのに自分じゃないあの感覚は
いまだに慣れない
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