みやとロウ。


……あれ……?


「…?」


自分の身体を見下ろして
こてんと首を傾げる


……話してないけど、目は合ったのに



「……何も『貰わない』……?」



いつも感じる違和感がない


肌がぴりつく感覚も
全身に冷たい水を浴びるような感覚も

黒い何かか内側に入ってくるような

内側を侵食していくようなあの嫌な感覚もない

後から感情の波が押し寄せてくる感じでもない



「囲ってるからね」

「…?囲う?」


不思議がる私を見て、塞ノ神さまは笑う


「結界で自分の魂を」

「妙な気配はそのせいか」


腑に落ちた様子で話す塞ノ神さまの隣で
ロウも納得したように口を開く



「あの子の魂も『白い』
みや程、真っ白ではないけど」


「おそらく、内の魂を結界で囲うことで
外からの刺激から自分を護ってるんじゃないかな」


「祓い屋は、人外のものと関わりが深い
あやかしや悪霊には、魂や感情に影響を与えるものも多い」


「人の感情を利用して
魂を傷付けたり、壊したりもする」


「けど、内側を結界で囲えば
外から易々と干渉される事はない」



「元々「白寄り」ってこともあるし
内の結界を通過して、外に出てる感情だから
みやの体質にも影響を与えない」



…。


塞ノ神さま言ってることは難しくて
はっきりとは理解できなかったけど…



「……あの人、いい人?」



「いい人かどうかは分からないけど
祓い屋で、斎の家の子だから
少なくとも『人』のみやには害はないと思うよ」
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