みやとロウ。
「……ロウ」

「なんだ」

「みやに出来ることない?」


お気に入りの青の花畑

ロウにもたれかかって
ぼんやり花を眺めながら、そう訊ねれば


「ない」


即答


むぅっと頬を膨らませる



『みやはのんびりしてていいよ』


『結界の中は安全だから
いつものように遊んで来たって構わない
あ、でもあまり奥には行かないようにね』


『僕は境目の様子を見がてら
あの子と少し話をしてくるから』


そう言って、塞ノ神さまはひとり
境目に向かった


ロウをここに残して



「…」



足を引っ張ってる


本当なら塞ノ神さまの遣いのロウは
こういう時に主である塞ノ神さまの傍にいるべきなのに


1番に塞ノ神さまを護らなきゃいけないのに


私がいるから、塞ノ神さまの所に行けない




『ロウはみやの傍にいて』




……塞ノ神さまは、私が寂しくないようにって
不安にならないようにって

ロウを置いていった


ロウもそれに何の文句も言わなかった


きっと、塞ノ神さまが言わなくても
もとから傍にいてくれるつもりだったんだろう
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