みやとロウ。
確かにひとりは不安だし、寂しいけど
足を引っ張りたくはない


何も出来ないならなおさら


だったら我慢して
ここで大人しくふたりの帰りを待つ



「…ロウ。みや、『中』でちゃんと待ってる
だから、塞ノ神さまの所に行って」


「そんな顔で何を言う」



…そんな顔って、どんな顔だろう




「塞ノ神は平気だ
あれでも一応は神。俺がいなくてもどうと言うことはない」

「……みや、邪魔になりたくない」

「誰も邪魔だとは言ってない」

「邪魔してる
みやがいるから、ロウは塞ノ神さまのとこに行けない」

「行けないんじゃない
行かないだけだ」

「…でも」

「いいから、お前は好きなようにしてろ」

「…」


再び顔を伏せるロウ


そんなロウに不満気な視線を送りながら
ぎゅっと胸元を握り締める



……優しいのが、苦しくなる時もあるって



初めて知った
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