みやとロウ。
「ロウ。ちょっといいかい?」

「ああ」


戻ってきた塞ノ神さまに呼ばれて
離れていくロウ

私から少し離れた所でなにやら話し始める




『みや』



そんなロウ達を眺めていると

不意に誰かに名前を呼ばれる



「…?」


『みや、たすけて』


「…だれ?」



か細い声


どこからか聞こえる




『たすけて』




必死に助けを求める声が、また




……湖の方?




「…」



ちらりとロウ達に視線を向ける


……結界の中だし
塞ノ神さまも自由にしていいって言った


ふたりの会話を邪魔するのも気が引ける




私はひとりで声のする方へと向かった
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